日本生物高分子学会

T種酵素取扱者資格試験問題


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2003年度問題

2003830日(土)10:00〜12:00

1 次の各問に解答しなさい。(計50点)

問1.酵素が他の触媒に比べて優れる点は何か。知るだけ記しなさい(3つ以上正解のとき満点)(10点)

問2.酵素が他の触媒に比べて弱点は何か。知るだけ記しなさい(3つ以上正解のとき満点)(10点)

問3.次の文章を読んで、問いに答えよ。(28点)

 殆どが澱粉質からなり水に溶けない状態にある食品製造廃材を酵素で処理加工して、できるだけ可溶化するとともに、利用できる有用な生物資源への転換を図りたい。

(1)この目的に適する酵素は何か。また、その酵素を用いたとき生成する物質はどのようなものが考えられるか。

(2)酵素による処理加工程を、もう一段と速く進行させたいが、どのような手立てが考えられるか。反応を速める手段を知るだけ記しなさい。

 

2 次の各問に解答しなさい。

問1.初速度とは何か、簡単に説明しなさい。また、酵素反応速度論で、反応速度として初速度を用いる理由を簡単に説明しなさい。

問2.酵素反応は一般に次式の機構で表わされる。

                                  Ks    k+2

                                       E+S   ES   E+P            

この機構に基づいてMichaelis-Mentenの式を導きなさい。また、Michaelis-Menten式で用いた記号が何を表わすのかも説明しなさい。

              (例  [E]0:全酵素濃度、v:速度 など)

問3.定常状態の速度論と遷移相の速度論は何が異なるかを次の2点を中心に説明しなさい。

                            @観測する変化(反応、過程)の違い、Aそれぞれの長所。

問4.次の各語句を簡潔に説明しなさい。

  (1)最大速度、(2)ストップトフロー、(3)反応の素過程、(4)拮抗阻害

 

3 次の各問に解答しなさい。

問1. 酵素は生体触媒といわれる。カタラーゼを例にとり、酵素の機能が二酸化マンガンのような無機触媒と違うところをまとめよ。

問2.血液を酵素源、マルトースを基質として、α―グルコシダーゼという酵素活性を測定したい。どのような点に留意すればよいか。

 

4 次の各問に解答しなさい。

問1. 通常の酵素反応では、反応速度はかなり広い範囲で酵素濃度に比例する(直線a)。ところが、比例関係が得られない場合がある。

(1)酵素標品が細胞からの粗抽出液に近い未精製の状態であるとき、曲線bあるいは曲線cとなった。そこで、酵素標品を透析すると、直線aとなった。最初に曲線bあるいは曲線cとなった原因は何が考えられるか。それぞれについて、一つずつあげよ。

(2)精製が進んだ均一な酵素標品で、曲線bあるいは曲線cとなる原因は何が考えられるか。それぞれについて、一つずつあげよ。

 

問2.  ある生物Aから精製した酵素Eの性質について記載した論文がある。この酵素Eの基質に対するKm値は、0.05 mM であり、活性測定では、原則的に、この基質を0.5 mM 加えて行っている。

(1)この基質濃度は適当であると言えるか。図を用いて説明せよ。

(2)別の生物 B から精製した、同じ(と考えられる)酵素Eの性質をしらべようと思う。予備実験の結果では、Km値は、3桁ほど大きく、50 mM 程度と考えられる。生物 B から精製した酵素Eの活性測定では、この基質を、論文に従って原則的に0.5 mM 加え、酵素の性質をしらべようと思う。この基質濃度は適当であると言えるか。図を用いて説明せよ。

 

5 次の各問に解答しなさい。

問1.タンパク質と酵素について、相異点をそれぞれ一つずつあげなさい。

問2.酵素の化学的修飾について、一つ例をあげなさい。

問3.酵素の構造安定性に影響を与える因子を一つあげなさい。

問4.酵素は熱により失活する。熱の役割として適当と考えられるものを下記より二つ

選びなさい。

           a. ペプチド結合を切断する。

           b. 活性を上昇させ、構造をこわす。

           c. 水分を蒸発させる。

           d. 分子内の水素結合が切れて、不安定にする。

問5.酵素の化学合成(固相法)は、アミノ酸配列N末もしくはC末のどちらからスタートするかを答えなさい。

問題 は次のページに続く

 

6 酵素の利用について、次の各問に解答しなさい。 (  )内は配点。

問1.酵素の起源には、植物、動物の臓器、微生物等があるが、産業用に利用される酵素の多くは、微生物を用いた発酵により製造されている。その理由を簡単に説明せよ。(20%)

問2.酵素には基質特異性がある。次の酵素が作用する代表的な基質およびその生成物を記述せよ。(40%)

              (1)カタラーゼ    (2)グルコアミラーゼ    (3)プロテアーゼ    (4)リパーゼ

問3.酵素の産業利用の一つに、酵素を用いたデンプンの加工がある。酵素を用いてデンプンよりグルコースを経て異性化糖を製造する工程の概略を使用する酵素名とともに説明せよ。(40%)

2002年度 I種酵素取扱者資格試験問題
2002年8月30日(土)10:00〜12:00実施
@ 次の各問に解答しなさい.
 問1. 各語句を簡潔明快に解説しなさい.
  (1)酵素単位,(2)ドメイン,(3)チモーゲン,(4)ゲルダール(Kjeldahl)法
 問2. 最適pHについて説明しなさい.
 問3.コファクター(助因子)は,酵素の触媒機能とどうかかわっているか.事例を一つあげて解説しなさい.
 問4.温度(熱)は酵素の働き(機能)および酵素の構造とどのように関わっているか説明しなさい.
 問5.酵素は他の触媒と比べて優れた特性をもっている.では,どう優れているのか.優れた特性について説明しなさい.

A 次の各問に解答しなさい.
 問1.初速度について解説しなさい.
 問2.各語句を簡潔に解説しなさい.
  (1)最大速度,(2)分子(モル)活性,(3)拮抗阻害,(4)イオン強度
 問3.反応速度に及ぼす要因について解説しなさい.
 問4.速度論量(速度パラメーター)を求める手順は,速度論実験を行って,初速度を求め,データ(初速度と基質濃度との関係)処理する.そこで,データ処理の仕方(プロット)について解説しなさい.
 問5.ミケーリス(Michaelis)の速度式について解説しなさい.

B 次の各問に解答しなさい.
 問1.つぎのような酵素の触媒する化学反応の基質の減少または生成物の増加の時間的変化を測定するにはどのような方法が考えられるか.
  (1)インベルターゼ:スクロース-> グルコース + フルクトース
  (2)アルコールデヒドロゲナーゼ:
      エタノール + NAD -> アセトアルデヒド + NADH + H+
 問2.つぎの記述を読んで,問に答えなさい.
 「酵素活性測定に通常用いている基質濃度は,酵素のKm値に相当する濃度である.」
  (1)この基質濃度を2倍にすると,反応初速度はどのくらい増加するか.
  (2)通常用いているこの基質濃度は,適当である,と考えられるか.その理由とともに答えよ.

C 次の各問に解答しなさい.
 問1.次の記述の正誤を述べよ.正しくないものはその理由を述べよ.
  (1)酵素反応の速度は,温度が上昇すればするほど大きくなる.反応温度の限界はない.
  (2)酵素反応において,基質の濃度を一定に保って酵素濃度を変えたとき,反応の初速度は酵素濃度に比例する.
  (3)基質濃度を増加させると反応速度は増大する.しかしある最大速度に近づくと,基質を加えても反応速度は増加しない.
 問2.実験的に求めたMichaelis定数(Km)に関する次の記述の正誤を述べよ.正しくないものはその理由を述べよ.
  (1)酵素濃度に依存する値である.
  (2)反応時のpHに依存する.
  (3)酵素が複数の物質を基質とする場合でも,Km値はすべての基質で変わらない.
  (4)mol/minの単位で表示できる.
  (5)基質の濃度に依存する.

D 糖タンパク質はタンパク質と糖が結合したものを指し,タンパク質の翻訳後修飾の代表である.糖鎖がタンパク質と結合する様式の代表的なもの2通りを説明しなさい.

E 酵素の利用について,次の各問に解答しなさい.( )内は配点.
 問1.「発酵」と「腐敗」の違いを簡潔に説明せよ.(20%)
 問2.酵素には基質特異性がある.次の反応を特異的に触媒する酵素名を記述せよ.(40%)
  (1)過酸化水素 -> 酸素 + 水
  (2)トリグリセリド + 水 -> グリセリン + 脂肪酸
  (3)デンプン + 水 -> オリゴ糖
  (4)タンパク質 + 水 -> ペプチド + アミノ酸
 問3.酵素の産業利用の一つに,光学活性を有するエステル化合物のリパーゼ(あるいはエステラーゼ)による光学分割がある.本反応について,具体例を一つ挙げ,簡潔に説明せよ.(40%)